コメカミの和画煎字記

コメカミが観た日本映画を1000字前後で感想をまとめています。

「ジャッジ!」

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映画『ジャッジ!』予告編 - YouTube

いきな今年のワースト候補を観てしまったというのが率直な感想である。脚本がいい加減で物語中で矛盾が生じてしまっている。主人公・太田のキャラがブレすぎ。英語がまったく話せない設定が、中盤で審査委員長と平然と英語で会話、かと思えば終盤ではまったく話すことができない。仕舞いには日本語の熱弁で心を打ってしまうから驚きである。卑怯な手をとにかく嫌う性格なのに、審査員の一人に無理やり手を挙げさせる展開にはガッカリ。そもそもこの主人公、職場環境が悪くて持っている才能を開花できないならまだしも、素質すらなく共感さえできない(職場環境は確かに悪いが)。CMコンテストのシステムも酷い。ノミネートされている作品が審査員たちの作品であることがおかしいし、つまらないCMを受賞させるという課題の根幹である“つまらないCM”でないといけない、ちくわのCMが、「広告大賞」における“ローカルCM大賞”でノミネートされるような“くだらなくて面白い”レベルに仕上がってしまっている。審査におけるルールも雑で、手前のCMを売り込むことが違反ならば、ひかり(北川景子)が中盤でおこなった行為も充分違反になる。ひかりの表面的なギャンブル中毒キャラ、竜也(玉山鉄二)の存在意義のなさには辟易。俳優たちの無駄遣いしすぎだし、サカナクションの主題歌・エンディングも乱用。鏡(リリー・フランキー)のキャラクターは演者が放つ雰囲気が存在感を放っていたが、彼が実は凄い人間だいう種明かしも終盤の1回でいいのに、作り手側の観ている側をバカにしている姿勢が伺える。荒川良々がブラジル人なのも意味不明だし、タイやフィリピン系がオカマという日本人の偏見はいい加減やめたほうがよい。監督・脚本家がソフトバンクやTOYOTOWNのCMの制作者と知って合点。この製作陣、おそらく内容はどうあれ俳優陣を豪華にすればなんでも面白くなるという脳ミソの持ち主なのだろう。だから、ちくわのCMのような安っぽいものを嫌うし、つまらないと思うわけだ。俳優が豪華なだけで中身が無茶苦茶で何も伝わってこない、まさにソフトバンクやTOYOTOWNのCMと同じだ。あるドラマでスポンサーが下りまくっているというニュースを最近耳にするが、この映画からTOYOTAやエースコックがスポンサー辞退したほうがいい。褒める点を絞り出すとすれば、大滝(豊川悦司)の秘書である原田(玄里)ぐらいだろうな。