コメカミの和画煎字記

コメカミが観た日本映画を1000字前後で感想をまとめています。

「ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック」

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映画『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』予告編 - YouTube

人気バラエティ番組の劇場版ということもあり、テレビでやっている内容を同じように映画で観るだけという推測、しかも過去におこなった放送の編集版(ディスク化もされている)という情報もあってか「需要があるのか?」と心配していたが、意外というかかなり面白かった。やはり日本武道館でイベントをおこなうほどの人気番組、その中でも伝説の回ということもあってか有野課長がゲームに奮闘するシーンは面白い。これは番組自体を初めて観る人や馴染みのない人のほうが引き込まれてしまうだろう。ところが、しばらく経ったところで突然フィクションのドラマが始まる。ドラマなんて良いから、早く先を見せてくれないかと思いつつドラマターンを観ているとなかなか面白く、完成度の高い中学生日記といった内容。『桐島、部活やめるってよ。』のようなスクールカーストも描きつつ、『鈴木先生』のように自分のポジションを受け入れつつある中学生の葛藤を描いている。ドラマのほうにも引き込まれ、有野課長ターンに戻ると、そうだった忘れてたと思わせる。しかも今度はドラマの先が観たくなるが、また課長の奮闘ぶりに引き込まれ忘れさせてくれる。気になり引き込まれ忘れるを何度も楽しむことができる。しかも終盤では2つのノンフィクションとフィクションが映像技術で見事に融合する(あとでDVDを観返したら、実際に会場の男の子が挑戦していた部分やそこで起こったことを違和感なく編集している)。みんなが観ている前でやるという同じプレッシャーの環境や、逃げ惑うシーンがゲームの内容に一致することなど2つのシーンが自然にリンクしているところも良い(ただ、逃げ惑うところでゲーム画面を盛り込んだのは蛇足)。ガセ情報ばかりのゲーム雑誌や、RPGのCMっぽい妄想など当時のゲーマーたちの心をくすぐるようなネタも盛り込んでいる。番組の熱心なファンではないので甘々なこと言っているのかもしれないが、むしろ番組のヘビーな視聴者でないほうが楽しめる内容である。ドラマターンの主人公の心情吐露ナレーションは乱発しすぎだし、裏技(ウィキにも載っているので違うのかもしれないが)であるはずのセーブやワープを一切使わずに13面まで行ってしまっている先輩など不自然な部分も多い。ヒロインとの初めての会話のときに最初に「ボンバーマン」が出てこないのは正直疑問であるが、細かく観た結果なので良し。